『新聞記者』監督:藤井道人《公開中》
おはようございます😁
『新聞記者』監督:藤井道人《公開中》
原作:望月衣塑子「新聞記者」著作/現役の新聞記者
東都新聞記者・吉岡(シム・ウンギョン)のもとに、大学新設計画に関する極秘情報が匿名FAXで届いた。
日本人の父と韓国人の母のもとアメリカで育ち、ある思いを秘めて日本の新聞社で働いている彼女は、真相を究明すべく調査をはじめる。一方、内閣情報調査室官僚・杉原(松坂桃李)は葛藤していた。「国民に尽くす」という信念とは裏腹に、与えられた任務は現政権に不都合なニュースのコントロール。
愛する妻の出産が迫ったある日彼は、久々に尊敬する昔の上司・神崎と再会するのだが、その数日後、神崎はビルの屋上から身を投げてしまう
。真実に迫ろうともがく若き新聞記者。「闇」の存在に気付き、選択を迫られるエリート官僚。
二人の人生が交差するとき、衝撃の事実が明らかになる!現在進行形のさまざまな問題をダイレクトに射抜く、これまでの日本映画にない新たな社会派エンタテインメント!あなたは、この映画を、信じられるか──?
記事画像引用https://shimbunkisha.jp/
映画『新聞記者』に込めた思い。
河村光庸 / 映画プロデューサー
2019年、新しい元号「令和」が始まり、参議院選挙、翌年に控える東京オリンピックの開催。かつて経験したことのないような時代の大きなうねりの中で、人々はどこからどのような情報を得ていかなければならないのでしょうか。
第二次安倍政権の発足以降、下がり続ける「世界の報道の自由度ランキング」(国境なき記者団)で日本は2016年、2017年には連続67位と、ついにG7各国の中で最下位となったことはすでにご承知かと思います。
フェイクニュース、メディアの自主規制は蔓延し、官邸権力は平然と「報道の自由」を侵す……。
この数年で起きている民主主義を踏みにじるような官邸の横暴、忖度に走る官僚たち、それを平然と見過ごす一部を除くテレビの報道メディア。最後の砦である新聞メディアでさえ、現政権の分断政策が功を奏し「権力の監視役」たる役目が薄まってきているという驚くべき異常事態が起きているのです。
それと共に、そしていつの間にか暗雲のように社会全体に立ち込める「同調圧力」は、人々を委縮させ「個」と「個」を分断し孤立化を煽っています。そのような状況下、正に「個」が集団に立ち向かうが如く、官邸に不都合な質問を発し続ける東京新聞の望月衣塑子さんの著書『新聞記者』が私に映画の着想を与えてくれました。そしてこの数年日本で起きた現在進行形の政治事件をモデルにしたドラマがリアルに生々しく劇中で展開していくという映画史上初の試みとなる大胆不敵な政治サスペンス映画に着手しました。本作は、報道メディアは政治権力にどう対峙するのかを問いかける作品です。
権力がひた隠す政権の闇に迫ろうとする一人の女性記者と、理想に燃え公務員の道を選んだある若手エリート官僚との対峙・葛藤を描いた政治サスペンス映画です。
過去、政治権力とジャーナリズムを扱った洋画は多くの名作を生んでいますが、日本映画にはほとんどありません。しかもフィクションではありますが、この映画の最大の特徴である、ここ2、3年で起きた政治的大事件をモデルにしているところです。
これらの政治事件は本来であれば一つ一つが政権を覆すほどの大事件です。ところがあろうことか、年号が令和に変わろうが継続中であるべき大事件が一国のリーダーと6人の側近の“令”の元に官僚達はそれにひれ伏し、これら大事件を“うそ”と“だまし”で終りにしてしまったのは多くの国民は決して忘れはしないでしょう。
一方で日本の報道メディアについても多くの問題があります。記者クラブの中でなぜ望月記者に続く人間が現れないのか? それで権力の番犬の役割が果たせるのか?
既存メディア、特に「記者クラブ」の政治部の記者たちは望月記者を「目立ちたいだけ」と非難していますが、その前にジャーナリズムの本質的な姿勢に立ち返るべきは「官邸記者クラブ」です。 ・・・