『中国の顔交換アプリに批判殺到』プライバシー懸念
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『中国の顔交換アプリに批判殺到』プライバシー懸念
ディープフェイク技術で写真の顔を入れ替えられるアプリ、権利放棄が問題に。ディープフェイク技術を駆使して、有名な映画の一場面などに自撮り写真をはめ込む中国製のアプリが登場し、瞬く間に人気を博している。その一方で、プライバシーやなりすまし犯罪への懸念がユーザーの間で急速に高まっている。
「ザオ(Zao)」と呼ばれるそのアプリは昨年8月30日にリリースされ、中国内のダウンロード回数でトップに踊り出た。
ユーザーは、映画やテレビ番組などに登場する俳優の顔の部分に自撮り写真をはめ込み、本物そっくりの画像を作ることができる。中国のソーシャルメディア上では最近、映画「タイタニック」のレオナルド・ディカプリオや人気ドラマ「ゲームズ・オブ・スローンズ」のキット・ハリントンなどに成り代わったユーザーの画像が多く出回っている。
ところが、Zaoがコンテンツを巡り「取り消し不可能かつ恒久的で、譲渡可能な」権利を放棄することを義務づけていている点をユーザーが問題視。中国内でプライバシーを巡る議論に火をつけた。ネット上では広範囲にわたる利用規約を巡り不満が爆発。ソーシャルメディアアプリ「微信(ウィーチャット)」は、Zaoを使ったコンテンツへのリンクを遮断した。中国版ツイッターの「微博(ウェイボー)」では、「顔を変えることは短期的には幸せをもたらすかもしれないが、プライバシーを火葬場に投じるようなものだ」といった投稿が見られたほか、「怖い。急いで削除する」などといった声も上がった。
Zaoは中国本土でアップルのアプリ販売サイト「アップストア」を通じてのみダウンロード可能だ。
Zaoは3日、ウェイボー(ツイッター)上で謝罪。利用規約を変更したと明らかにした上で、ユーザーの画像は保存しないと説明した。また、同社の顔交換技術を、顔認証に基づくセキュリティーシステムを欺くために利用することはできないとして、なりすまし犯罪に悪用される危険はないとした。
Zaoは「新興企業として利用者の根本的な懸念に考えが及ばなかった」と釈明し、「個人情報の保護とデータの安全性を極めて重視している」とした。
人工知能(AI)を駆使したディープフェイク技術の台頭で、写真や動画、音声を本物そっくりに不正に加工することが可能になっており、米議会やテクノロジー企業では、来年の米大統領選挙を控え、ディープフェイクのコンテンツをいかに見破り、防止するかが課題になっている。
米国などに比べて、個人情報保護への関心が低いとされる中国で、Zaoへの批判が集まったことはとりわけ注目に値する。こう指摘するのは、チャイナ・マーケット・リサーチ・グループのマネジングディレクター、ベン・カベンダー氏だ。同氏は「中国の消費者は政府が自らのデータを把握できる状況にあってもそれほど心配していない」としつつも、「自分の写真や音声を変えることができる点が意識され始めたことで、恐怖感が広がった」と述べる。
記事画像https://jp.wsj.com/articles/SB10814821955818634058604585529221500310154