飯島企画業務日誌

『サピエンス』【下巻】ユヴァル・ノア・ハラリ

Posted by 

おはようございます😉

FD5C5FB1-4617-4592-9EFF-2A761B6098CD

図書倶楽部『サピエンス』【下巻】ユヴァル・ノア・ハラリ
下巻では科学革命の発展から、個人の形成、そして幸福と、一連の流れから、将来的に我々人類はどのような道筋を辿っていく可能性があるのか?と言う事を論じている。
西暦1500年頃まで、人類は新たな能力の獲得ではなく、既存の能力の維持だった。今、私達は”知らない”の前提に立つ。これが重大な発見だった。それまでの知識の伝統は、宗教で神は全てを網羅する知恵を持っている前提で、”全てを知っている”と思っていた。”知らないこと”を理解するとで”知ること”に革命が起きた。そして帝国、資本主義と結びつき、科学は進歩を加速した。進歩で得たものは、失いたく無い、パイは信用で広がり続ける。この先に待つのは何なのか?
今の自分達の基盤がどういったものの成り立ちで、どこにいるのか、そしてどこへ行くのか。変わることを選んだ不安に対して、幸福が科学・経済の進歩だけでは得られないことを知り始める。
宗教は、人の不安を取り除いてきたが、今は違う不安を幸福に変えるために見直されている。特に仏教の考えは、「喜びと不安の波に揺らぎ苦しむ。自らの感情は、すべて束の間のもの。真の幸福とは内なる感情の追求もやめること。」
「諸行無常は自らの内にもある。」
近代科学が帝国主義の欧州を中心に発展したのは、科学、政治、経済の関係がうまく循環したのが大きな要因であり、とりわけ、経済(お金)の動きがポイントになっている。帝国として領土を広げるために遠征隊を出す資金のリスクを下げる目的で”株式会社”が誕生し、”信用”によって大きな資金が動くようになった。
科学技術の進歩に貢献した半面、帝国主義によって、多くの先住民族や動植物が絶滅することになる。争いや乱獲も要因だが、他の土地から持ち込まれた病気で亡くなった人は多かった。
帝国主義が自由市場資本主義のもとで奴隷貿易を生み出す。奴隷貿易企業は証券取引所に上場して資金を得て、船の購入、水夫の雇用、アフリカで奴隷を買うなどしてアメリカ大陸に行く、そこでプランテーション所有者に奴隷を売買、砂糖やコーヒー等を仕入れ、自国の市場で売るという構図だ。注目すべきは、このシステムは国家によって管理されたものではなく、自由市場が運営、出資していたもので奴隷をモノとして扱うという”無関心”が原動力となっていることである。
現代においても、世界で様々な災害が起こっても資本家は自らの財産を増やすため、市場の推移を予測して株を売り抜けることや需要の高まりそうな分野への投機に余念がない。
そこには人類を救おうという観点はなく、相変わらず他者への”無関心”が見受けられる。
今、私達が当たり前に思っていることは、ココ数十年に出来上がった世界であり、実際に安定的であるとは言えない危険な側面をいくつも持っている。それによって更に進化を加速する”新サピエンス”と進化を拒む衰退した”サピエンス”とのエリート層と一般層がそれぞれの進化を辿るのではないか?
我々に課された使命とは何か?そんなものは、無い。なぜなら進化には、意図も狙いも無いのだから。
PAGETOP