ユヴァル・ノア・ハラリが警告する『データの罠』1/4
おはようございます😉
ユヴァル・ノア・ハラリが警告する『データの罠』1/4
もし、一握りのエリート層の手に富と権力が集中するのを防ぎたいのなら、データの所有権を統制することが肝心だ。古代には、土地はこの世で最も重要な資産であり、政治は土地を支配するための戦いで、あまりに多くの土地があまりに少数の手に集中したときには、社会は貴族と庶民に分かれた。
近代には機械と工場が土地よりも重要になり、政治闘争は、そうした必要不可欠な生産手段を支配することに焦点を合わせた。そして、あまりに多くの機械があまりに少数の手に集中したときには、社会は資本家階級と無産階級に分かれた。
それに対して21世紀の最も重要な資産はデータで、土地と機械はともにすっかり影が薄くなり、政治はデータの流れを支配するための戦いと化すだろう。もしデータがあまりに少数の手に集中すると、人類は異なる種に分かれることになる。
データの獲得競争はすでに始まっており、グーグルやフェイスブック、百度(バイドゥ)、騰訊(テンセント)といった巨大なデータ企業が先頭を走っている。これまでのところ、こうした巨大企業の多くは、「注意商人(attention merchant)」というビジネスモデルを採用しているようだ。彼らは無料の情報やサービスや娯楽を提供することで私たちの注意を惹き、その注意を広告主に転売する。
とはいえ巨大なデータ企業はおそらく、従来のどの「注意商人」よりもはるかに上を狙っている。彼らの真の事業は広告を売ることではまったくない。むしろ、私たちの注意を惹いて、私たちに関する厖大な量のデータを首尾良く蓄積することだ。そうしたデータはどんな広告収入よりも価値がある。私たちは彼らの顧客ではなく、製品なのだ。
中期的には、このようなデータの蓄積は、これまでとは根本的に異なるビジネスモデルへの道を拓く。その最初の犠牲者は、広告業界そのものになるだろう。新しいモデルは、物を選んで買う権限を含め、さまざまな権限を人間からアルゴリズム(計算方法)へと移すことに基づいている。いったんアルゴリズムが私たちのために物を選んで買うようになれば、旧来の広告業界は壊滅する。
2/4につづく…
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