飯島企画業務日誌

『本のエンドロール』安藤祐介

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おはようございます😉

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『本のエンドロール』安藤祐介
本が好きな人には是非とも読んでほしい作品。日頃、弊社では製本関係の仕事を受注させたて頂き、仕事の面でも勉強になるかな?と感じた所から読んでみたいと手に取った本。その面では大変、勉強になったが、それだけではなかった。「本について」だけでなく「働くということ」についても考えさせられることが多い。
人の出逢いに縁が有るように、本と人との出逢いもまた縁だ。本と人とは一対一で対峙する。読者は例え「つまらなかった」と読み捨てた本からも、”何か”を受け取る。一冊の本が読者の心を突き動かし、人生を変えることもある。物語と言う”魂”に本と言う”肉体”を授けると言う。
印刷工場の人間にも区別がつかない微かな色味の違いに、読者は気づくだろうか?こだわりなんて、見方によればばかばかしいもの。だが、こだわりを捨てたら職人は職人では無くなる。信じる心が職人を強くする。金の為に毎日、力を尽くす。力の拠り所は意地、少しでも上手く誇りを持てるやり方で。
時代が変わって行くのは避けられず、本作りに携わる者は生きにくくなった。本を”書く人”企画する人”作る人”配本する人”そして”売る人”がいる。普段は関わりが無くとも、この仕事は一本の道で繋がっている。その仕事も電子書籍との間のジレンマがある。厚み、重み、手触り、紙やインキの香り、ページをめぐる音、表紙カバーのたわみ。五感の端々に伝わるもの全てが本なのだ。
理想を語る人間嫌いが、その固定観念が変わりつつあるのを感じた時、理想だけでなく、今この瞬間に全力を尽くしている事を感じ取った。仕事はお客様のため、家族のため、他の誰かのためで、自分のためでは無いと思い込み、心のどこかで、他者のためには自分をある程度犠牲にすべしと言う前提を置いていた。しかし、それは違う、誰かの役に立つことが自分の幸福に繋がる。自分のために働いて良いのだと気づいだが、考え方や立場の違いで理解出来ないこと、ぶつかることもある。だが、好きなものを介して広がる世界は、幾つになっても本当に羨ましい。どの人も、結局は、良いものを造りたい、その思いが同じだから共感出来る。自分の想いが通じない相手にどうしたら良いのか?それは自分も変わる事で気がつく事。性格や考えが違っても、どこかで、信頼があるからだろう。
会社は、業種は変われど共通する苦労か?大切に思うものが共通している事で、人間関係においてすごく大事な事なのかもしれない。積み重ねてきた信頼が、背中を押してくれる。幾多のトラブルに翻弄させられながも、日々の仕事にベストを尽くしてきた結果だった。
今の仕事は、”転職”。そう言い切れる人は、一握りで、多くの人は今の仕事でわない別の仕事、今の人生とは違う別の人生に微かな憧れを残し、ぼんやりと引きずっているのかも知れない。しかし、仕事は「夢は、目の前の仕事を毎日、手違いなく終わらせる事」で「印刷会社はメーカーです」と言う誇りを懐いて仕事に取り組むことなのだろう。本の最終ページの奥付は本のエンドロール。見えない所で多くの人の力が集まっている。
最近、身近で起きている事に”シンクロニティー”を感じた一冊だった。

 本が出来るまで→https://youtu.be/m8gYHGwbVQE?list=TLGG0d52WBHbx50yNzA2MjAyMQ

『本のエンドロールができるまで youtube 2021.6.28 05:00』

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