飯島企画業務日誌

『空間統計データ』後編

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『空間統計データ』後編
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携帯電話会社やそれに関連する企業が、位置情報を基に人の流れを把握するデータを提供するという取り組みは、実は新型コロナウイルス以前から存在している。モバイル空間統計などは2013年より実用化に向けた動きが進められているし、Agoopのデータはかつて、現在のソフトバンクに当たるソフトバンクモバイルがエリア改善のため積極活用していたことで知られている。
なぜこうしたデータを提供する動きが進んだのかというと、そもそも広域での人の流れを把握することはこれまで非常に難しいことであったが、有益性が高くビジネスチャンスにもつながるためだ。実際新型コロナウイルスの対策以前にも、こうしたデータは自治体の災害対策や、企業の広告・マーケティング活動などに活用されてきた実績がある。
一方で、多くの人が気にするのはプライバシーへの配慮ではないだろうか。各社が位置情報をはじめとしたさまざまな情報を取得することが、特定の個人の行動を把握できてしまうことにもつながり、何らかの形でプライバシーを大きく侵害してしまう可能性が出てくることを懸念している人も少なくないと考えられる。
だが各社は、当初からデータのビジネス活用を念頭に入れていたこともあり、プライバシーへにはかなり配慮した上でサービス提供をしている。データを取得する際には事前に利用者の同意を得ており、どうしてもデータ提供をしたくない人にはそれを解除する方法も用意している。
また取得したデータから特定の個人を特定できないよう、位置は大まかなエリア単位で集計する、年齢なども「30代」といったように大まかな区分に変換するなどの措置が取られている。さらに人数が少ないエリアの数値を除去することで、一層人物を特定できないよう秘匿性を高める配慮もなされているのである。
新型コロナウイルスの影響は今しばらく続くと思われるが、だからといって海外でいくつかの事例が見られる、スマートフォンアプリなどを通じて行政がプライバシー侵害の可能性がある管理・監視を進めてしまうことは、今後個人の権利保障を大きく損なってしまう懸念がある。それだけに、プライバシーに配慮したデータの活用こそが、感染拡大防止に寄与することに大いに期待したいところだ。
記事画像https://news.mynavi.jp/article/mobile_business-64/
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