飯島企画業務日誌

『ミラーワールド』8/12

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おはようございます😉

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『ミラーワールド』8/12
カメラを構成する重いデーターが、重量のないソフトウェアの最小単位の情報へとさらに置き換わっていくことで、やがて小型化した顕微鏡のような画素が1日24時間、周囲の環境をスキャンし続けるようになるだろう。
ミラーワールドとは、カメラに収められ、さまざまに入り混じった光線がディスプレイを出て目に映る世界だ。そこでは、物体は際限なく流れ続ける通過可能な光子の絵となり、手に触れたものは目に見えるゴーストとなる。光の法則こそが、この世界で何を可能にするのかを支配する。
新しいテクノロジーは、新しいスーパーパワーをわれわれに与える。ジェット機によって超高速を手にし、抗生物質によって治癒のスーパーパワーを手にし、ラジオによってそれまでには考えられないような聴覚を手にしたように、ミラーワールドは、これまであり得なかった視覚を確実に与えてくれる。まるでX線ビジョンのように、バーチャルなゴーストを通して物体の中を見ることができ、その構成部品をバラして、回路を視認しながらひもとくことができる。
これまでの世代が学校で文章のリテラシー(読解記述力)を身につけ、アルファベットから索引まで、書字をマスターしていったように、これからの世代は視覚のリテラシーを身につけるだろう。ちゃんとした教育を受ければ、今日わたしたちが文字をタイピングするような速さで3Dの景観の中に3Dの画像をつくりだすことができるようになり、これまでにつくられたすべての映像のなかから、思いついたビジュアルを言葉を使わずそのまま検索できるようになるだろう。色彩の複雑さや遠近法の原則といったことは、まるで文法を習うように一般的に理解されるようになる。フォトニック(光子)の時代がやってくるのだ。
最も重要なのはロボットもこの世界を見るようになるということだ。実のところ、自律走行車やロボットはいますでに現実世界をこの視点から見ている。それらが見ているのは、現実世界とヴァーチャルな影が融合した世界だ。
ロボットが忙しない街の通りを歩くようになると、そのシリコン製の目や頭で見た景色は、ミラーワールド版の街路になる。ロボットがうまく道順をナビゲートできるかどうかは、前もって道路状況をどれだけマッピングできたかにかかっているのだ。歩道の街灯と消火栓、自治体ごとに違う交通標識の正確な位置といった既存の3Dスキャンに加え、家主がスキャンした戸口やショップウィンドウの精巧な細部のレンダリングが必要となる。もちろん、ミラーワールドにおけるあらゆるインタラクションと同様に、このバーチャルな領域は物理的な世界の景色に重ねられたレイヤーであり、ロボットは道を通り過ぎる人々の動きをリアルタイムで見るようになる。これはAIが運転するクルマも同じことだ。こうしたクルマもまたミラーワールドに組み込まれ、プラットフォームによってデジタル化されたクルマや道路の情報に依存することになる。
動いている物体をリアルタイムでデジタル化する作業は、その物体の周囲を走るほかのクルマによってなされる場合が多いだろう。ロボットが見るものはすべて、ほかのマシンのために瞬時にミラーワールドに投影されるからだ。ロボットにしてみれば、周囲を見渡すことは自分のためでもあり、ほかのロボットにスキャンデータを提供するためでもあるのだ。

記事画像https://wired.jp/special/2019/mirrorworld-next-big-platform(雑誌『WIRED』日本版VOL.33より転載)!
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