飯島企画業務日誌

『ミラーワールド』11/12

Posted by 

 

おはようございます😉

 

3D5F5C72-A8A0-4D1A-9974-82453A48688E-A9956FB1-0FA7-4CD9-B798-2EB9B6F0E491

『ミラーワールド』11/12
ミラーワールドが抱えるリスクの多くは簡単に想像できる。というのも、現在のプラットフォームが抱えるものと同じだからだ。例えばミラーワールドでも、フェイクニュースを防ぎ、不正削除を止め、詐欺的表示を検知し、スパムを除き、安全でないものをリジェクト(除く)するためのメカニズムが必要だ。理想としては、支配的企業のようなビッグブラザーの介入なしに、参加者全員に開かれた方法でそれができるといいだろう。
ブロックチェーン(皆で使える台帳)ならそれができるかもしれない。開かれたミラーワールドの整合性を確保することこそが、ブロックチェーンの使命だったのだ。その可能性に向けて、熱心な人々がいまも手を動かしている。残念なのは、政府などによってミラーワールドが徹底的に中央集権化されていくシナリオも、想像に難くないことだ。われわれにはまだ、その選択の余地がある。
わたしが話したこの分野の研究者たちはこれらの分岐点を強く意識し、ひとりの例外もなく脱中央集権化モデルに向けて取り組んでいると主張していた。その理由はたくさんあるけれど、第一には脱中央集権的でオープンなプラットフォームのほうが、より豊かで強靭だからだということがある。グーグルのAR/VR部門の副社長は言う。「わたしたちはウェブがそうであるのと同じように、誰かが使えば使うほどよくなっていくオープンなサービスを目指しています」
ミラーワールドはプライバシーについても大きな懸念を呼ぶだろう。結局のところ、ミラーワールドとは何十億もの眼があらゆる点を見つめ、それを持続するひとつの光景へと収斂させていくことなのだ。そこでは無数の眼やそのほかのセンサーによって大量のデータが生み出され、そのビッグデータのスケールは、いまはまだ想像すらできない。
そうしたビッグデータの亡霊には思わず尻込みしてしまうだろう。それがどんなに悪い結果をもたらし得るのか、いくらでも想像できるからだ。でも、ビッグデータがもたらす恩恵もいくつかある。その最たるものがミラーワールドだ。ビッグデータを洗練させることで、失うよりも多くのものを得るためにはどうすればいいか? そのための道筋は単純明快なものではない。
それでも、ミラーワールドへとアプローチするにあたって教訓となる経験はすでにいくつかある。そのよい例が、データを扱うあらゆる主体に透明性と説明責任を課すことだ。つまり情報の対称性を確保することで、監視人たち自らも監視されることになる。また、データをつくる人(つまりあなたやわたし)がシステムから金銭的利益を含め明確な恩恵を受けるよう、断固求めていかなければならない。
このユビキタスなデータを処理するにあたり、実行可能な道筋が見つかることに関してわたしは楽観的だ。というのも、ミラーワールドが、ビッグデータを蓄積する唯一の場所というわけではないからだ。ビッグデータはあらゆるところにある。願わくは、ミラーワールドが先行して、この問題を最初に解決する場となってほしい。

記事画像https://wired.jp/special/2019/mirrorworld-next-big-platform(雑誌『WIRED』日本版VOL.33より転載
PAGETOP