「新しい平年」は「これまでの平年」と比べてどのような傾向にあるのだろうか。
3月24日に発表された気象庁の報道発表資料によると、「新しい平年」でポイントとなる変化は「気温」と「降水量」だ。年平均気温の平年値は、全国的に0.1~0.5度上昇している。すでに書いたように、地球温暖化などの影響を考えると、平年値が上昇することに違和感はないだろう。
降水量の平年値も、夏の西日本や秋・冬の太平洋側の多くの地点で10%程度多くなる。これは、雨の少ない年が多かった1980年代の観測値が新しい平年値の算出に使われなくなる一方で、雨の多い年が多かった2010年代の観測値が今回新たに算出に使われたことが影響しているものと思われる。また、降雪量は多くの地点でこれまでの平年値よりも少なくなる。これは、気温上昇の影響で雪が降りにくくなった結果だろう。また、桜の開花やウグイスの初鳴きなど、これまでは植物34種、動物23種を対象に記録していた「生物季節観測」が、2021年から対象を6種目9現象に大幅に縮小することになった。
気象庁の発表では、
「生態環境が変化しており、植物季節観測においては適切な場所に標本木を確保することが難しくなってきています。また、動物季節観測においては、対象を見つけることが困難となってきています」と、その理由を説明している。
なお、2020年まで観測を続けていた生物季節観測の項目は、引き続き2030年までは比較対象となる平年値として使われる。