『子供の食器』
プラスチックやメラミン、木製の割れない食器? もしくは、あえての陶器? 正解がわからずに悩んでいる方に向けて、おすすめの食器や食器セットをご紹介しましょう。
昨今、「食べること」に興味のない子供が増えていることをご存じでしょうか。食べ物があふれ、好きなものを好きなときに食べられる、いわゆる飽食の現代。大人でも、食事は安価なファストフードなどを摂って適当に腹を満たし、もっとほかのことにお金をかけたいと考えている人は多いはず。このようにコンビニやファストフード店などでいつでも好きなものを食べられる生活を送っている子供たちは、食への渇望感が減退していると言います。また、コンピューターゲームの普及や塾通いなどで体を動かす頻度が減ったことから、そもそもお腹が空きにくくなってしまっているのだとか。
子供が食に関心を持たないまま成長すると、栄養の偏りや不規則な生活などによる肥満や生活習慣病、過度なダイエットなど、健康面で影響が出てくると述べられています。子供の頃にどのような食事をとっていたかが、子供の将来にも影響を与えてしまうのです。まずは食器の重要性についてご説明しましょう。
幼少期の「舌の記憶」はその人の「一生の味覚」につながると言います。皆さんも、「自分の出身地特有の味つけでないと受け入れられない」など、幼い頃にお父さん・お母さんが作ってくれたご飯の味で自分の味覚が定まっているという方は多いのではないでしょうか。子供にとって、食事が非常に重要であることがおわかりいただけたかと思います。加えて、「食器によって味が変わる」という説をご存じでしょうか。「気のせい」「考えすぎ」などではなく、れっきとした研究結果が出ているのです。研究によると、被験者に同じココアを違う色のカップで飲ませたところ、「クリーム色とオレンジ色のカップで飲むほうがおいしい」と感じた被験者が多かったのだそう。
子供用の食器セットを購入する際、「割れない食器」を探す方は多いのではないでしょうか。子供は、不注意で食器を割ってしまうことも多いものですよね。
「子どもの食事」について。偏食や離乳食に関する悩みのほか挙げられたのが、「食事のマナー」、いわゆる「遊び食べ」でした。「遊び食べ」に明確な定義はありませんが、食べ物をぐちゃぐちゃとかき回したり、お皿やコップを投げたり、カトラリーで食器を叩いたり……といった行為が挙げられますね。では、なぜその年代の子供たちは、「遊び食べ」をしてしまうのでしょうか。心理学者ピアジェは、子供は「感覚運動期」「前操作期」「具体的操作期」「形式的操作期」の4つの段階を経ると提唱しました。「遊び食べ」が多いのも、まさしく「感覚運動期」の年代の子供たち。「何かを触ってみたら感触がおもしろかったので、何度も触る」といった「循環反応」が見られるのが特徴です。
このように、子供は遊び食べをしたり、うっかり落としてしまったりして、食器を割ってしまうことが多いもの。おそらく多くの保護者にとって、「なるべく割れない食器を」「壊れてもいいような安い食器を」と、壊れにくい食器を買おうとするのが自然ではないでしょうか。しかし、今回オススメしたいのは、あえて子どもに陶器やガラスなどの「割れる食器」を使わせること。子供にあえて割れる食器を使わせることには、次のようなメリットがあります。
子供が遊び食べをした際には、ただ「ダメ」と叱るのではなく、「なぜダメなのか」を伝える必要があると言います。たとえば、子供が食器をわざと叩いたり、落としたりしたとしましょう。その際、プラスチックなどの割れない食器であれば、「なぜダメなのか」子供に伝わりにくいもの。「落としたって壊れないし、音が鳴っておもしろいからいいじゃないか」と感じてしまう子供が多いのです。しかし、陶器などの割れる食器であれば、乱暴に扱うと、プラスチックを落としたときとは違う大きな音とともに壊れて使えなくなってしまうので、子供ながらにショックですし、悲しい気持ちになります。その際に「割れちゃったからもう使えなくなってしまったよ」など、「なぜいけないのか」を伝えることで、徐々に子供も「なぜ食器を乱暴に扱ってはいけないのか」理解できるようになっていくのです。
「モンテッソーリ教育」
イタリア出身の医師であり教育家のマリア・モンテッソーリ博士が考案した教育法。子供に自己教育力(自分を育てる力)が備わっていることを前提とし、子供の自主性を重視した教育法です。モンテッソーリ教育において重要なのは、大人が子供のために環境を整備してあげること。
ガラスや陶器などの、「本物」の重みのある食器であれば、丁寧に扱わなければ壊れて悲しい思いをすることになるため、子供たちも真剣に扱うようになるのです。自然と物を大切にする習慣も身につきますね。そのため、子供には、陶器などの大人と同じ素材の食器を使わせるのがおすすめなのです。
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